マルチIMU方式による慣性センサの高精度化
民生MEMS慣性センサの複合方法・信号処理方法を工夫し、ジャイロセンサのバイアス安定性の改善、加速度センサの低ホワイトノイズ化を達成することで、搭載リソースが限られた分野での新機能実現(方位角の検出、地球レートの検出など)を目指します。
(本研究は、2018年度~2019年度の、ソニー(株)R&Dセンターとの共同研究成果です)
メリット
- 近接配置したIMU素子間の干渉ノイズの影響を除去可能なため、高集積化・小型化が可能であり、小型アプリケーションに向いています。
- IMUセンサの不良値(外れ値等)を動的に除去可能なため、製造前のMEMS個体選別が不要であり、量産化向きと言えます。
- また、2のメリットは、放射線による個別異常出力にも対応可能であり、宇宙応用向きでもあります。

研究の概要
MEMS-IMU素子32個をアレー状に配置し、32個出力信号合成時に干渉抑制フィルタ及び外れ値除去フィルタを挿入することで、MEMS個体選別を行う必要なく、大数法則(√32分の1)に近いノイズ精度(統計的理想 0.042°/√hr)及び、バイアス安定性:0.5°/hrのIMUを実現することに成功しました。


研究実績
発表論文
- H. Kamata, M. Kimishima, T. Sawada, Y. Suga, H. Takeda, K. Yamashita, and S. Mitani, MEMS Gyro Array Employing Array Signal Processing for Interference and Outlier Suppression, IEEE Inertial 2020, Hiroshima, Japan