研究の意義価値
大型の人工衛星では1機あたり約数10万~100万点の宇宙用部品が必要と言われています。宇宙用電子機器を組み立てるためには多くの種類の宇宙用部品が必要で、これらの部品を不足なく揃えなければ人工衛星は完成しません。
システム性能は構成する部品の性能を上回るものは実現できません。このため、部品の性能はシステム性能の限界でもあり、宇宙用部品の性能向上は、人工衛星の機能性能の向上には不可欠です。
戦略的に選ばれた部品を開発することにより、本研究のねらいである自在な宇宙活動を継続できる能力を維持し、将来の人工衛星の競争力強化が実現可能となります。
研究の目標
人工衛星の機能性能を左右する部品に注力して研究開発を進めています。本研究では、戦略的に必要となる宇宙用部品を4つのカテゴリにわけて目標を設定しています。
耐放射線性を確保し、最先端部品技術を宇宙で使う研究
宇宙機の耐宇宙環境性確保の中でも最重要となる、先端電子部品に対する宇宙放射線の影響識別と解明、放射線耐性を確保あるいは強化するための様々な技術ノウハウ獲得、軌道上での影響予測と試験解析技術を体系的に獲得することを目的とした研究を進めます。
これにより、我が国の宇宙機を構成する電子部品技術の選択肢が大きく広がり、宇宙機の国際競争力を大きく向上させることが可能になります。
高性能な宇宙用計算機デバイス技術
宇宙機に搭載される計算機の中核をなす半導体デバイス群を対象とし、日本独自の部品技術を応用して、半導体デバイスの超低消費電力化、アナログ要素とデジタル要素の機能集約、光と電子を融合した高速信号伝送技術を実現するための研究を進めます。これまでの研究ですでに実現されたマイクロプロセッサや、ナノブリッジFPGAの技術を中心として、これらの性能を最大限に生かすための技術研究に取り組みます。
これにより、搭載計算機の飛躍的な性能向上だけでなく、その構成や排熱系の簡素化によるコンポーネントの小型化が可能になります。
電力システムを高精度に制御するパワーデバイス技術
宇宙機は、自動車や鉄道車両に匹敵する大電力化が進んでいます。電力制御の要となる部品技術がパワーデバイスと呼ばれる半導体技術です。この実現には、従来のシリコン半導体に代わる技術として、SiCやGaNに代表される化合物半導体技術が必要不可欠ですが、地上産業分野でもまだ新しい技術です。本研究では、耐宇宙環境性に優れた化合物半導体チップの実現に加え、長期信頼性を担保するための使用条件や耐故障性を高めるためのパッケージ実装技術もセットで構築することを目指します。
これにより、宇宙機の大電力制御を達成し、電源コンポーネントの小型高信頼性化を実現します。
部品の性能を最大限に引き出す小型高密度実装技術
昨今の部品技術の進展により、計算機デバイスの低電圧・大電流化、GHzオーダの高周波化、パワーデバイスの高耐圧大電流化が大きく進んでいます。本研究では、これらの進化にあわせた、受動部品や基板、パッケージ等の一連の周辺技術の実現を目指します。
これにより、高機能な部品を動作速度や温度範囲の制約を課すことなく使用することが可能になり、将来の様々なミッション実現に大きく貢献します。

