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ラジオ番組

ディープな宇宙をつまみぐい フル・チャージ!

2019年9月~10月に放送された、ラジオ日本の「ディープな宇宙をつまみぐい フル・チャージ!」の放送内容をご紹介しています。

2015年に放送され、好評を博したあのラジオ日本「ディープな宇宙をつまみぐい」が帰ってきました!
4年の充電期間を経て、満充電でお届けするプログラム「ディープな宇宙をつまみぐい フル・チャージ!」
宇宙利用が拓く未来を目指して、地道な研究に取り組む研究者が、5週連続で宇宙にまつわる技術的なお話をディープに語りつくします。

ご聴取ありがとうございました!
引き続き Podcastで配信中ですので、ぜひご聴取ください!

  • 番組名 「ディープな宇宙をつまみぐい フル・チャージ!」
  • 放送日時 2019年9月22日~10月20日
    毎週日曜 25:00~25:30
  • 放送局 ラジオ日本
  • 協力 宇宙航空研究開発機構
  • ワイヤレス電力伝送技術

    2019年9月22日(第1回放送)

    2019年春にJAXA初のクラウドファンデイングによるご支援をいただいた「ワイヤレス電力伝送技術」。
    地上でも家電製品や自動車用などに研究開発が進んでいるワイヤレス技術を宇宙で使うには?
    担当研究者がディープに語りつくします。

    • ゲスト 嶋田 修平(研究開発部門 第一研究ユニット)
    • パーソナリティー 藤平 耕一(新事業促進部 事業開発グループ)
  • 再使用ロケット技術

    2019年9月29日(第2回放送)

    JAXAで行っている将来の再使用型ロケットに向けた研究開発をご紹介。
    今取り組んでいる研究、そして再使用型ロケットが拓く未来について担当研究者がディープに語りつくします。

    • ゲスト 伊藤 隆(研究開発部門 第四研究ユニット)
    • パーソナリティー 畠中 龍太(研究開発部門 第二研究ユニット)
  • JAXAの研究戦略

    2019年10月6日(第3回放送)

    JAXA研究開発部門の研究計画をつかさどる研究戦略部長が、研究者としての経歴と、JAXAの今後の研究開発について語ります。

    宇宙あっちとこっち 「HYFLEX 」と「ALFLEX

    • ゲスト 張替 正敏(研究開発部門 研究戦略部長 兼 研究推進部長)
    • パーソナリティー 藤平 耕一(新事業促進部 事業開発グループ)
  • JAXAのリサーチマネジメント

    2019年10月13日(第4回放送)

    いよいよJAXA研究開発部門長が登場。
    研究者としての経歴と、JAXAのリサーチマネジメントについて語ります。

    宇宙あっちとこっち 「ランダム振動試験 」と「音響試験」

    • ゲスト佐野 久(研究開発部門長)
    • パーソナリティー畠中 龍太(研究開発部門 第二研究ユニット)
  • コンタミネーション計測技術

    2019年10月20日(第5回放送)

    最終回は「コンタミネーション計測技術」。宇宙空間においてはプラスチックや接着剤等の材料から放出されるアウトガスによるコンタミネーション(汚染)が問題となります。このコンタミネーション対策のために開発した「計測技術」をご紹介。
    今回は一緒に開発を進めている日本電波工業株式会社の方も登場し、これまでの研究成果と今後の展望についてディープに語りつくします。

    • ゲスト宮崎 英治(研究開発部門 第一研究ユニット)
          茎田 啓之(日本電波工業株式会社 千歳テクニカルセンター)
    • パーソナリティー藤平 耕一(新事業促進部 事業開発グループ)

ディープな宇宙をつまみぐい

ラジオ日本の「ディープな宇宙をつまみぐい」は2015年9月25日をもって放送を終了いたしました。

計26回放送されましたが、企画サイドの意図以上のご好評をいただき、少々驚いております。
ご紹介した内容は宇宙開発のほんの一部に過ぎませんが、
日ごろスポットライトを浴びることがない地道な研究を粘り強く続ける研究者の姿を感じていただけたかと思います。

半年間にわたるご聴取どうもありがとうございました。

  • 最終回

    2015年9月25日(最終回)

    半年間にわたるご聴講、どうもありがとうございました!

    • パーソナリティー 藤平 耕一
  • プロジェクトマネジメント技術

    2015年9月18日(第25回放送)

    • ゲスト藤平 耕一(GOSAT-2プロジェクト)
    • パーソナリティー畠中 龍太

    宇宙あっちとこっち「QT」と「AT」

    人工衛星や探査機は一度打ち上げてしまうと、修理することはほぼ不可能です。そこで、打ち上げ前に様々な試験が行われます。そんな試験の種類のお話です。 研究開発された様々な新しい技術は、厳しい試験をパスして、初めて宇宙に行くことができるのです。

    あっち 「QT」:
    QTは、Qualification Testの略で、日本語では認定試験と言います。実際に打ち上げるのと同じ構造や性能を持つ機器を、あらかじめ、打ち上げ用とは別に作って、想定される状況よりも厳しい条件の試験を行います。 このQTに供する機器をQalification Modelと言います。打上げや宇宙の環境、繰り返し動作に耐えられる設計余裕、つまり、マージンがあるかどうかを確認するのがQTの目的です。QT試験をパスすると、実際に打上げ用の機器、Flight Modelの製造が開始されます。

    こっち 「AT」:
    Flight Modelに対して行われる試験が、ATです。ATはAcceptance Testの略で、日本語では受入試験といいます。ATの大きな目的の一つは、製造上のミスがないことを確認することです。 ATでは、打上げ用の装置に必要以上の負荷をかけないために、想定される状況と同等の厳しさの試験を行います。 このように宇宙開発では、同じものを2つ作って、片方を厳しい試験にかけて性能をチェックし、もう片方を実際と同等の試験にかけて合格すれば打上げるという方法が一般的です。

  • ミッションデザイン技術

    2015年9月11日(第24回放送)

    • ゲスト 西城 邦俊(システム技術ユニット)
    • パーソナリティー畠中 龍太

    宇宙あっちとこっち「粒子状コンタミ」と「分子状コンタミ」

    コンタミとはcontamination 。日本語では「汚染」と訳されます。あまり知られていませんが、コンタミは、宇宙機の大敵で、非常に気をつけなければならないものです。目に見えないような物質も侮れません。 宇宙機の搭載機器に汚染が発生すると、本来の性能を発揮できないなどの、トラブルが発生する場合があります。例えば、望遠鏡のレンズにゴミが付着してしまったら、本来の観測精度が出なくなってしまいます。 そのため、使用する材料のアウトガスを事前に調べることや、作業は塵や埃が少ないクリーンルーム行うなどの対策が取られています。衛星搭載機器の“汚れ”を防ぐための日々の地道なコンタミネーション管理が高性能な宇宙機の開発を支えているのです。

    あっち 「粒子状コンタミ」:
    粒子状コンタミは、英語ではParticulate Contaminationといい、その名の通り、粒子によっておこる汚染を意味します。コンタミネーションは、宇宙機が地上にいる時だけでなく、打上げ時や軌道上にいる時も発生する可能性があります。 地上における粒子状コンタミ源としては、空気中の埃・砂・排気ガス、微生物、人の皮膚、髪の毛、機械加工の切りくず、剥がれた塗料のかけらなどがあります。 打上げ時や軌道上における粒子状コンタミ源としては、推進系噴射に伴う微粒子化したノズル材などが考えられます。

    こっち 「分子状コンタミ」:
    分子状コンタミは、英語ではMolecular Contaminationといい、目に見えない分子が付着することによって発生する汚染です。宇宙機に用いられる様々な材料から発生するアウトガスが原因となることが多く、 特に真空中では材料からのガス発生が多くなるので注意が必要です。地上における分子状コンタミ源としては大気中のガス、水蒸気、試験設備に用いられるオイルなどの蒸気、洗浄剤の残渣、人の化粧品や皮脂などがあります。 打上げ時や軌道上における分子状コンタミ源としては、宇宙機に使用される材料、接着剤、潤滑材などからの発生するガス、推進系のプルームなどがあります。

  • スペースデブリ除去技術

    2015年9月4日(第23回放送)

    • ゲスト 河本 聡美(第二研究ユニット)
    • パーソナリティー藤平 耕一
  • 宇宙太陽光発電システム

    2015年8月28日(第22回放送)

    • ゲスト上土井 大助(第二研究ユニット)
    • パーソナリティー畠中 龍太

    宇宙あっちとこっち「軌道エレベータ」と「マスドライバー」

    コンタミとはcontamination 。日本語では「汚染」と訳されます。あまり知られていませんが、コンタミは、宇宙機の大敵で、非常に気をつけなければならないものです。目に見えないような物質も侮れません。 宇宙機の搭載機器に汚染が発生すると、本来の性能を発揮できないなどの、トラブルが発生する場合があります。例えば、望遠鏡のレンズにゴミが付着してしまったら、本来の観測精度が出なくなってしまいます。 そのため、使用する材料のアウトガスを事前に調べることや、作業は塵や埃が少ないクリーンルーム行うなどの対策が取られています。衛星搭載機器の“汚れ”を防ぐための日々の地道なコンタミネーション管理が高性能な宇宙機の開発を支えているのです。

    あっち 「軌道エレベータ」:
    「軌道エレベータ」は文字通り、軌道上まで伸びるエレベータをつくろうというものです。赤道上の上空で静止する静止衛星から、地球までケーブルを垂らします。垂らしたケーブルを伝って登って行けば、簡単に宇宙に出られるという発想です。 とてつもない張力に耐えるケーブルの材料が必要で、現在のところ、条件を満たすケーブルをつくることはできませんが、もし、これが出来たら、ロケットのように膨大なエネルギーを使わず、ゆっくりと安全に、地球の景色を眺めながら、宇宙に行くこともできるでしょう。

    こっち 「マスドライバー」:
    「マスドライバー」はいわばカタパルトです。宇宙空間に行くためのエネルギーを地上で与え、放り投げるように、物体を宇宙に運びます。火薬を使うガスガン方式や、電磁力をつかうレールガン方式が考えられています。 いずれにしても、重力を振り切るためのエネルギーを打ち出す前に、物体に与えておくことが必要で、地球の重力を振り切ろうとすると、なかなか作るのが大変です。 マスドライバーは、月や火星など、地球よりも重力の小さい天体から、宇宙空間へ移動する手段としては、ロケットより便利かもしれません。

  • 生命維持技術

    2015年8月21日(第21回放送)

    • ゲスト桜井 誠人(第二研究ユニット)
    • パーソナリティー畠中 龍太

    宇宙あっちとこっち「FTA」と「FMEA」

    宇宙開発において、よく用いられる故障や不具合の分析手法「FTA」と「FMEA」を比較します。いずれもアメリカの航空宇宙業界で開発された手法ですが、今は宇宙にとどまらず、様々な分野で用いられています。 トラブルを未然にさけたり、トラブルが起きたとき、素早く漏れない分析をするために、FTAやFMEAは無くてはならないものです。もちろん、我々JAXAの技術者・研究者も必ず知っていなくてはならない、非常に重要なツールです。

    あっち 「FTA」:
    FTAはFault Tree Analysisの略で、日本語では「故障の木解析」といいます。FTAでは、まず最初に、起こっては困る事象を書き出します。 例えば、「人工衛星が機能停止する」というような、大きな問題を書きます。次に、書き出した事象から矢印を伸ばして、その起こっては困る事象が起こる原因を書きます。さらに、その原因から、また矢印を伸ばして、原因の原因を書きます。 FTAはこのように、ある事象の原因をトップダウンで書き出していくことで、漏れなくトラブルの原因を抽出しようという手法です。書き出していくと一つのトラブルから、たくさんの原因が書き出され、木の幹と根っこのような形になるので、「故障の木解析」と呼ばれるのです。

    こっち 「FMEA」:
    トップダウンなFTAに対してFMEAは、ボトムアップな分析手法です。FMEAはFailure Mode and Effect Analysisの略で、 日本語では「故障モード影響解析」と言います。FMEAでは、まず予想される機械の故障モードを列挙します。「ある部分のボルトが折れる」というような、小さな事柄から出発します。 その故障モードが発生するとどのような影響があるかを次に書き出していき、大きなトラブルにつながるかどうかを分析します。故障モードが与える影響を考えるので「故障モード影響解析」なのです。

  • ディープな技術を支える人々

    2015年8月14日(第20回放送)

    • ゲスト 上ヶ平 有紀(研究推進部)
          木川 大輔(研究推進部)
    • パーソナリティー畠中 龍太
  • ソフトウェア技術

    2015年8月7日(第19回放送)

    • ゲスト氏家 亮(第三研究ユニット)
    • パーソナリティー藤平 耕一

    宇宙あっちとこっち「クリティカルフェーズ」と「チェックアウトフェーズ」

    人工衛星や探査機の運用フェーズである「クリティカルフェーズ」と「チェックアウトフェーズ」を比較します。「クリティカルフェーズ」、「チェックアウトフェーズ」はともに宇宙機開発者にとって、まさに「手に汗握る」最も緊張するシーンです。

    あっち 「クリティカルフェーズ」:
    「クリティカルフェーズ」とは、打ち上げられた人工衛星や探査機が、ロケットから分離すると同時にスタートします。クリティカルフェーズでやることは3つあります。

     1つめは、折りたたんでいたものを展開し、本来の形にすること。
     2つめは、電源がきちんと確保されること。
     3つめは、きちんとした姿勢にすること。

    人工衛星や探査機はロケットのフェアリングに収まるように折りたたまれているのが普通です。クリティカルフェーズでは、折り畳んでいた太陽電池や、アンテナを展開します。最も重要なのは、太陽電池による自己発電によって電源が確保されていることの確認です。 自己発電ができないと、衛星はすぐに機能を停止してしまいます。電源が確保されていることを確認したら、運用中に使用する最も安定した姿勢への姿勢制御を行います。クリティカルフェーズには2~3日から、長いもので1週間くらいかかります。 クリティカルフェーズが終わると「チェックアウトフェーズ」に移行します。

    こっち 「チェックアウトフェーズ」:
    チェックアウトフェーズでやることは主に2つです。

     1つめは、軌道を修正し、ミッションに適した軌道にすること。
     2つめは、衛星に搭載された機器が、予定通りに作動するか点検すること。

    地球観測衛星なら、観測に最適な軌道へ、静止衛星なら、予定の上空に静止するように軌道制御を行います。そして、たくさんある搭載機器に電源を入れ、観測やデータ処理がきちんとできるか、予定通りの性能が出ているか確認します。 チェックアウトフェーズでの入念な点検の後、本来のミッションを行う「定常フェーズ」に移行します。チェックアウトフェーズには、だいたい3か月の期間が必要です。

  • センサ技術

    2015年7月31日(第18回放送)

    • ゲスト室岡 純平(センサ研究グループ)
    • パーソナリティー藤平 耕一

    宇宙あっちとこっち「光学センサ」と「マイクロ波センサ」

    地球観測衛星に搭載される観測用センサ、人工衛星の「目」である、「光学センサ」と「マイクロ波センサ」を比較します。

    あっち 「光学センサ」:
    光学センサは、太陽光が地上の物体に当たって、反射した光を捉える、受動型のセンサです。陸域観測技術衛星「だいち」のAVNIR2(アブニール2)をはじめ、多くの人工衛星が光学センサを搭載しています。 可視光線から近赤外線の波長を使う光学センサは、分解能が高く、人間の目で見るようなカラーの画像が得られます。光の強度を分析することで、植物の分布、河川や湖沼、市街地などの地表の状態を調べることができます。 欠点は、太陽の光がない夜の観測ができないことや、雲があると、その下の地表を調べられないことです。

    こっち 「マイクロ波センサ」:
    マイクロ波センサは、可視光線や赤外線よりも波長の長い、マイクロ波を捉えることで、地表や海上の様々な情報を取得します。センサーからマイクロ波を出し、地表に当たって反射してきたマイクロ波を捉える「能動型」と 地表から自然に出ているマイクロ波を観測する「受動型」があります。陸域観測技術衛星「だいち2号」の合成開口レーダーPALSAR2(パルサー2)は代表的なマイクロ波センサです。 波長の長い電波を使うので、光学センサより分解能が低く、色を判別することはできませんが、光学センサではできなかった夜の観測ができます。また、マイクロ波は雲を透過するので雲に覆われた地表も調べることができます。 光学センサとマイクロ波センサはお互いの短所を補い合うことができるのです。

  • ロケットの要素技術(帰り)

    2015年7月24日(第17回放送)

    • ゲスト長福 紳太郎(第四研究ユニット)
    • パーソナリティー畠中 龍太

    宇宙あっちとこっち「大崎射場」と「吉信射場」

    ロケットを打上げる発射台を含む作業エリアを射場と呼びます。ともに種子島宇宙センターにある「大崎射場」と「吉信射場」を比較します。
    ちなみに、イプシロンロケットを打ち上げる射場は固体燃料ロケットを用いるミューシリーズの打上げ用に整備されたため「ミューセンター」と呼ばれ、内之浦宇宙空間観測所にあります。

    あっち 「大崎射場」:
    大崎射場は中型ロケット発射場と呼ばれ、日本初の液体燃料ロケットNI(エヌワン)ロケットが打ち上げられた射場です。およそ40年前の初打ち上げから、NI(エヌワン)、NII(エヌツー)、HI(エイチワン)、JI(ジェイワン)の各種ロケットが 20年の間に合計25機、打ち上げられました。日本の宇宙開発を支えた大崎射場ですが、現在は使用されておらず、少し錆の目立つ当時の発射台と整備棟運用されていないブロックハウスが残っています。

    こっち 「吉信射場」:
    吉信射場は、大型ロケット発射場と呼ばれ、初の純国産ロケットH2ロケットと、その後継機のために整備されました。吉信射場に2つの発射台を設置する地点「射点」があり、第1射点はH2Aロケット、第2射点はH2Bロケット用に使用されています。 この他、ロケットを組み立てる「大型ロケット組立棟」Vehicle Assembly Building通称VAB、発射管制を行う「大型ロケット発射管制棟」通称Block House、「推進薬・高圧ガス貯蔵供給所」などがあります。 ロケットの組立、整備・点検、燃料充填、打上げが一か所できるようになっています。
    1994年2月のH2ロケット試験機1号機の打上げから、2015年7月までに、39機のロケットが打ち上げられました。

  • ロケットの要素技術(行き)

    2015年7月17日(第16回放送)

    • ゲスト伊海田 皓史(第四研究ユニット)
    • パーソナリティー畠中 龍太

    宇宙あっちとこっち「二段燃料サイクル」と「エクスパンダーブリートサイクル」

    日本の主力ロケット、H(エイチ)シリーズに用いられる液体ロケットエンジンの動作方式「二段燃焼サイクル」と「エキスパンダーブリードサイクル」を比較します。

    あっち 「二段燃料サイクル」:
    二段燃焼サイクルでは、まず最初にプリバーナで燃料を燃やします。燃やしたエネルギーを使ってターボポンプを動かし、一分間にドラム缶200本分以上の燃料と酸化剤を燃焼室に送ります。 送り込まれた燃料と酸化剤は燃焼室で燃えて、排出されたガスがエンジンの推力になります。プリバーナーと燃焼室の2か所で燃えるので、「二段燃焼サイクル」です。 二段燃焼サイクルは、効率は非常に高いのですが、システム全体の圧力が高く、構造も複雑で、実用化しているのは、アメリカ、ロシア、そして日本のみです。 日本の主力ロケットH2A、H2Bロケットの一段用エンジン、LE7A(エルイーセブンエー)は、二段燃焼サイクルです。

    こっち 「エクスパンダーブリートサイクル」:
    エキスパンダーブリードサイクルは、燃焼室の周りに燃料の通り道を作っておき、燃焼室の熱でガスを発生させてターボポンプを回し、燃料と酸化剤を燃焼室に送ります。 ターボポンプを回した燃料は燃やさずに捨ててしまうため、効率は、二段燃焼サイクルほど高くできません。しかし、プリバーナーがいらないなど、構造が単純で、安全性や信頼性を高くできます。 H2A、H2Bロケットの二段用エンジン、LE5B(エルイーファイブビー)は、エキスパンダーブリードサイクルです。 2015年7月に正式な機体名称が決定した、次期基幹ロケットH3(エイチスリー)の一段ロケット用エンジンLE9(エルイーナイン)もエキスパンダーブリードサイクルを使う予定になっています。

  • 熱制御技術

    2015年7月10日(第15回放送)

    • ゲスト岡本 篤(第二研究ユニット)
    • パーソナリティー畠中 龍太

    宇宙あっちとこっち「アルミニウム合金」と「チタン合金」

    ロケットや人工衛星によく使われる金属である「アルミニウム合金」と「チタン合金」を比較してみました。
    人工衛星の本体は、金属よりも軽いCFRPで作られることが多いです。しかし、価格が安く、強度も簡単に出せる金属の部品は、まだまだ無くなりそうにはありません。 アルミニウム合金、チタン合金をはじめ、ステンレス、マグネシウム合金、ニッケル耐熱合金などなどきらりと光る金属部品が、宇宙開発を支えています。

    あっち 「アルミニウム合金」:
    アルミニウム合金は、密度が鉄のおよそ3分の1と軽いので、宇宙機にはもってこいの金属です。合金は規格によって、アルファベットと数字を組合せて呼ぶことが一般的です。 ジュラルミンは、A2017。超ジュラルミンのA2024はアルミニウム、銅、マグネシウム、マンガンの合金で、ロケットのタンクなどに用いられます。そして、超超ジュラルミンは、A7075。アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、銅、クロムの合金です。 アルミニウム合金の中でも高い強度を誇り、ロケットのフェアリングや、段間部に使われます。アルミニウム合金は安価で加工もしやすいのですが、熱に弱く、強度もほかの金属に比べると低いのが欠点です。

    こっち 「チタン合金」:
    チタンは、アルミほどではありませんが、軽い金属で、熱にも強く、強度が高いのが特徴です。しかし、加工が大変で、価格も高いため、宇宙機の「ここぞ!」というところに用いられます。 代表的な合金はTi64(ティーアイ、ロクヨン)と呼ばれるチタン、アルミ、バナジウムの合金です。衛星とロケットをつなぐペイロードアタッチフィッティングや強度が必要とされるネジの部分によくチタン合金が用いられます。

  • 航法技術

    2015年7月3日(第14回放送)

    • ゲスト中島 悠(第一研究ユニット)
    • パーソナリティー畠中 龍太

    宇宙あっちとこっち「アースセンサ」と「スターセンサ」

    「アースセンサ」と「スターセンサ」。ともに宇宙機の“目”となる姿勢センサです。宇宙機は自身の姿勢を「基準になる物」を見つけて、その物体の動きを追うことで、確認します。アースセンサとスターセンサはその「基準となる物」が異なります。

    あっち 「アースセンサ」:
    「アース」とは地球のことです。アースセンサは地球を見るセンサなのです。ただし、人間の目のように可視光を見るのではありません。可視光を見てしまうと、昼と夜で地球の見え方が大きくかわってしまうので、基準としては使えません。 そこで、昼でも夜でも影響の少ない赤外線を見ます。宇宙機から地球を見たときに、アースセンサは、赤外線を検知して、地球と宇宙の境目を検出します。この境目が宇宙機から見てどう動いているかによって、自分がどんな姿勢をしているかを知ることができます。

    こっち 「スターセンサ」:
    「スターセンサ」は星を見て姿勢を知るためのセンサです。星から来る光を検出器でとらえ、発生する電気信号を処理します。スターマッパーと呼ばれる方式のスターセンサーはあらかじめ星の位置情報が入力されています。 あらかじめ知っている星の見え方のパターンと実際に見えた星のパターンを見比べることで、自分の姿勢を知ることができるようになっています。星座を覚えて大海原を旅した、大航海時代の船乗りみたいですが、宇宙では一般的な方法です。

  • ディープな宇宙の座談会

    2015年6月26日(第13回放送)

    • ゲスト 水谷 忠均(第二研究ユニット)
          間庭 和聡(第二研究ユニット)
          加藤 真耶(有人宇宙技術部門)
    • パーソナリティー藤平 耕一
  • ロボット技術

    2015年6月19日(第12回放送)

    • ゲスト加藤 裕基(第二研究ユニット)
    • パーソナリティー藤平 耕一

    宇宙あっちとこっち「SSRMS」と「JEM-RMS」

    国際宇宙ステーション(ISS)に設置されている2つのロボットアーム「SSRMS」と「JEM-RMS」を比較してみました。

    あっち 「SSRMS」:
    Space Station Remote Manipulator Systemの略で、国際宇宙ステーションに取り付けられたメインのロボットアームのことです。 カナダで作られました。カナダはロボットアームの技術が優れており、すでに引退したスペースシャトルのロボットアームも、カナダでつくられ、「カナダアーム」と呼ばれていました。

    そのため、国際宇宙ステーションのSSRMSことを「カナダアーム2」と言ったりもします。SSRMSは2001年にISSに取り付けられ、ISSの組立や修理作業に活躍しています。7つの関節をもち、両端にハンドが付いていて、しゃくとり虫のようにISSのあちこちに移動することができます。 最長17.6メートルまで伸び、最大で116トンの物体をハンドリングできる強力なアームです。HTV「こうのとり」のドッキングにも使用されます。

    こっち 「JEM-RMS」:
    Japanese Experiment Module Remote Manipulator Systemの略で、ISSの日本実験棟「きぼう」専用のロボットアームです。2008年にISSに取り付けられました。 日本もロボットアーム技術を着実に進歩させており、JEM-RMSには、1997年に打ち上げられた技術試験衛星「きく7号」などで培われた、ロボット技術が活かされました。 JEM-RMSの全長は、およそ10メートルで、最大のハンドリング質量も7トンと、ISS全体のメンテナンスに使うSSRMSよりは小型です。その代わり、とり回しが利くアームになっています。 JEM-RMSは「親アーム」と「子アーム」の2つのアームで構成され、親アームの先の子アームは取付け、取り外しが可能です。例えば、重いものは親アームで、細かな作業は子アームで、というように、作業分担ができます。 この取り回しの良さを生かして、日本実験棟の船外実験プラットフォームにある実験装置の交換や、小型衛星の放出に活躍しています。 宇宙ステーションと言えども、宇宙空間に出て行う船外活動は大変です。いくつものロボットの手が宇宙飛行士たちの活動をまさに「手助け」しているのです。

  • 誘導制御系技術

    2015年6月12日(第11回放送)

    • ゲスト春木 美鈴(第一研究ユニット)
    • パーソナリティー畠中 龍太

    宇宙あっちとこっち「モーメンタムホイール」と「リアクションホイール」

    地上では重力があり、人は地面に立つことで上下や左右を知り、自分の向きたい方向に向くことができます。ところが、宇宙空間では、無重量なので衛星や探査機は宙に浮いていて、捕まるものや地面はありません。 しかも空気抵抗もないので、回っているものは回りっぱなし、止まっているものは、止まりっぱなしで、自分の向きたい方向に姿勢を変えることができません。そこで登場するのが、「リアクションホイール」と「モーメンタムホイール」です。
    どちらも、人工衛星や探査機の姿勢をコントロールするために用いるアクチュエータです。リアクションホイールもモーメンタムホイールもどちらも中に高速に回転する金属の円盤が入っています。回っているコマは立ったまま安定します。 宙に浮いている状態で回っているコマはずっと同じ方向を向きます。この原理を利用して、人工衛星の中で円盤を回転させ続けると、衛星はずっと同じ方向を向き続けることができるのです。 さらに、円盤を加速させたり減速させたりすると、その反力で衛星本体を回転させたり、停止させたりすることができ、衛星は自分の好きな姿勢を取ることができるのです。

    あっち 「モーメンタムホイール」:
    「モーメンタムホイール」はどちらかというと、「同じ方向に向き続けること」に重点が置かれた装置です。大きな円盤で、発生する力も大きく、衛星全体を安定して同じ方向に向けることができます。 実際には、モーメンタムホイールを一つ載せて、一軸の安定化と方向のコントロールを行い、それ以外の軸をスラスタなどの別の姿勢制御装置で向きを変える方法が用いられていました。

    こっち 「リアクションホイール」:
    「リアクションホイール」はどちらかというと「回転したり停止したりすること」が得意な装置です。モーメンタムホイールよりは小型で、機敏な動作に向いています。実際には、XYZの各軸にリアクションホイールを置いて、各軸毎に姿勢を制御します。 これらのホイールを使うことで、衛星は自在に姿勢を変えて、地上の撮影や、宇宙を観測の観測をこなしているのです。地上では、スカイツリーの建設で、宙づりの荷物の向きをコントロールするために、同様の技術が使われているそうですよ。

  • 推進系技術

    2015年6月5日(第10回放送)

    • ゲスト藤井 剛(第二研究ユニット)
    • パーソナリティー畠中 龍太

    宇宙あっちとこっち「静止軌道」と「極軌道」

    人工衛星がその役割を果たすためには、役割にあわせた適切な位置にいなければなりません。地球を周回する軌道はいくつも種類がありますが、中でもよく用いられる「静止軌道」と「極軌道」を比較してみました。 衛星は、その役割に適した軌道で地球のまわりを回っているのです。

    あっち 「静止軌道」:
    静止軌道から、静止軌道はGSO: Geostationary Orbitとも呼ばれます。静止軌道は高校の物理で習ったという方もいるかもしれません。地上からの高度3万6千キロメートルで、地球から見ると常に同じ方向にいて、止まっているように見えるので、静止軌道と言います。 ずっと同じところにいるので、「24時間、365日、途切れることなく、何かをする」というミッションにこの軌道を使います。 例えば、「気象観測衛星ひまわり」、衛星放送でお馴染みの「放送衛星BS」、通信衛星である「データ中継衛星こだま」などは、日本の上空で静止する軌道にいることを活かして、常にサービスを提供することができるのです。 便利な静止軌道ですが、地球1周分にも近い、かなり遠い距離にあるため、その軌道に入るためには、多くのエネルギーが必要となります。静止衛星の全重量に占める燃料の割合は半分以上になります。 静止軌道に行く衛星は、ロケットから切り離された後の旅路がとても長いのですね。そこで、最近ではロングコーストが可能なロケットを開発し、なるべくロケットで静止軌道に近いところまで行こうという計画が進行中です。

    こっち 「極軌道」:
    極軌道は英語ではPolar Orbitです。静止軌道が地球の赤道上、地球儀で見ると「横まわり」だったのに対して、極軌道は「縦まわり」。北極と南極を通る軌道になっています。 地球が自転でくるくると横回りしているまわりを縦回りすると、時間はかかりますが、地球のあらゆる場所を見ることができます。そのため、地球観測衛星の多くがこの軌道を使っています。 陸域観測技術衛星「だいち2号」や水循環変動観測衛星「しずく」も極軌道です。 ディープには、観測衛星は極軌道の一種である「太陽同基準回帰軌道」です。太陽同期とは、「衛星と太陽の位置関係が常に同じになる」ということを意味しています。衛星から見て地球表面にあたる太陽光の角度がいつも同じになり、 太陽の影響を受けにくい、正確な観測ができるようになります。準回帰とは、「衛星が地球を一周するたびに観測する地域が少しずつずれていき、あるところで元の場所に回帰する」ということを意味しています。 同じ地域を一定の間隔で観測することができます。これらを合わせて「太陽同期準回帰軌道」となります。

  • 軌道・航法(追跡ネットワーク)技術

    2015年5月29日(第9回放送)

    • ゲスト秋山 恭平(第一研究ユニット)
    • パーソナリティー畠中 龍太
  • 通信技術

    2015年5月22日(第8回放送)

    • ゲスト中台 光洋(第一研究ユニット)
    • パーソナリティー畠中 龍太

    宇宙あっちとこっち「ETSシリーズ」と「MUSESシリーズ」

    新しい人工衛星や探査機を開発するためには、多くの新しい技術が必要ですが、実用化の前に宇宙で機能を確認することが必要です。ETSシリーズやMUSESシリーズは、どちらも技術を試すために作られた宇宙機なのです。
    生活を便利にする技術を確立したETSシリーズ、宇宙探査の技術を磨いたMUSESシリーズ、これら試験機たちによって、宇宙開発が支えられてきたのです。

    あっち 「ETSシリーズ」:
    ETSはEngineering Test Satelliteの略で、日本語では「技術試験衛星」となります。主として宇宙利用、つまり私たちの生活に密着する衛星の基礎技術を確立する目的で作られました。 ETSシリーズには共通して「きく」の愛称がつけられます。人工衛星の打上げと運用技術の習得のため、1975年に打ち上げられた、ETS-1、きく1号。地球観測に必要な三軸姿勢制御技術の実証を行った、きく4号。 衛星を使った通信技術の試験を行った、きく5号やきく6号など、ETSシリーズは、今使われている人工衛星のいしずえとなっています。

    こっち 「MUSESシリーズ」:
    MUSESシリーズのMUSESはMu Space Engineering Spacecraftの略で、「ミュー・ロケットで打上げる工学実験宇宙機」という意味になります。MUSESシリーズは、宇宙探査技術を実証することが目的でした。 宇宙探査用の宇宙機は、内之浦宇宙空間観測所から、ミューロケットで打上げることがほとんどでしたので、この名前になったのです。MUSESシリーズは3機打上げられました。 MUSES-A「ひてん」は、のちの宇宙探査に必要なスイングバイをはじめとする軌道制御技術の実験のため、1990年に打ち上げられました。
    次のMUSES-B「はるか」は、展開式の大型アンテナを用いて世界初のスペースVLBI観測を行い、電波望遠鏡技術の習得に貢献しました。 そして、3番目のMUSES-Cは、皆さま、もうおわかりですね?そう、「小惑星探査機はやぶさ」です。はやぶさで培われた技術は、「はやぶさ2」に引き継がれ、さらに発展しています。

  • [ 特別企画 ]ディープな現場を小旅行!

    2015年5月15日(第7回放送)

  • 機構技術

    2015年5月8日(第6回放送)

    • ゲスト柳瀬 恵一(第二研究ユニット)
    • パーソナリティー畠中 龍太

    宇宙あっちとこっち「H2A」と「H2B」

    H2AロケットとH2Bロケット。どちらも日本を代表する大型液体ロケットですが、何が違うのでしょうか?

    あっち 「H2A」:
    H2Aは1996年に開発が本格化し、2001年に初フライトしました。H2Aは高価な純国産ロケットH2ロケットを元に、設計を大幅に見直して、価格を半分近くに下げるとともに打上げ能力を向上させることにも成功しました。 打上げ能力は、宇宙に運べるものの重さで表すことが一般的です。H2Aは低軌道におよそ10トンのものを運べます。イメージしてみてください。路線バスと同じかそれ以上の大きさ、重さのものを、丸ごと宇宙に運ぶことができるのです。

    こっち 「H2B」:
    H2Bロケットは、H2Aロケットをベースに、打上げ能力の向上を目的に開発されました。2005年に開発が本格化し、2009年に1号機が打ち上げられました。打上げ能力は低軌道になんと16.5トン。 その高い能力を活用して、国際宇宙ステーションに物資を運ぶHTV(こうのとり)の打上げに活躍しています。サイズを見てみましょう。全長はH2Aロケットが53メートル。H2Bロケットが56メートル。ちょっとだけH2Bの方が大きいですね。 いずれも10階建てのビルより少し高いくらいの大きさです。
    次に重さ。H2Aロケットはおよそ290トン。H2Bロケットはおよそ530トン。2倍近くもH2Bの方が重いのです。重さの原因は燃料です。重いものを打ち上げるには、それだけたくさんのエネルギーが必要です。 H2Bロケット打ち上げ能力はH2Aの倍に迫る勢いですから、これもやむなし、ですね。H2AロケットではX線天文衛星「ASTRO-H」、気象変動観測衛星「GCOM-C」などの打上げが予定されています。 また、H2BロケットではHTV5号機~7号機の打上げが予定されています。

  • 電子部品技術

    2015年5月1日(第5回放送)

    • ゲスト水田 栄一(第一研究ユニット)
    • パーソナリティー畠中 龍太

    宇宙あっちとこっち「人工衛星」と「探査機」

    人工衛星と探査機の違いを取り上げます。

    あっち 「人工衛星」:
    英語ではArtificial Satelliteと言ったり、単にSatelliteと言ったりします。衛星というからには、惑星の周りをまわっていなければなりません。私たちに最も身近な惑星は・・・そう地球です。 「人工衛星」は、主に、地球の周りを回るものを指します。そんな人工衛星は、私たちの生活に密着しているものがほとんどです。 衛星放送や電話回線に用いられる通信衛星、ひまわりでお馴染み、天気予報に使われる気象衛星、そして、大地、海、大気の状態を細かく調べる地球観測衛星が人工衛星の代表例です。 地球の周りを回るのが人工衛星と覚えてください。

    こっち 「探査機」:
    英語ではSpace Probeと言います。オシロスコープなどで使う探針を「プローブ」と言いますが、探査機はまさに地球から広大な宇宙をへ送り出した調査のための細い針、「探針」なのです。 地球以外の宇宙の津々浦々に実際に行って、様々な計測や観測を行い、太陽系や宇宙の謎を解き明かすのが、探査機の使命です。 月を探査した「かぐや」、金星投入への再チャレンジを行う「あかつき」、水星を目指す「BepiColombo MMO」。そして、小惑星のサンプルリターンに向けて突き進む「はやぶさ2」が探査機の代表例です。 地球の重力を振り切って、飛び出していくのが探査機と覚えてください。

  • 材料技術

    2015年4月24日(第4回放送)

    • ゲスト木本 雄吾(第一研究ユニット)
    • パーソナリティー藤平 耕一

    宇宙あっちとこっち「Xバンド」と「Sバンド」

    人工衛星や探査機は宇宙にいますから、地上にいる我々とは電波で情報をやり取りをすることになります。人工衛星や探査機がとらえた美しい写真も、地上に送ることが出来なければ、見ることができません。 人工衛星や探査機用のマイクロ波のうち、よく用いられるXバンドとSバンドを比較してみます。このほかにも人工衛星や探査機用のマイクロ波には、Lバンド、Cバンド、Kuバンド、Kバンド、Kaバンド、Vバンドと用途に合わせて様々な種類があります。

    あっち 「Xバンド」:
    「Xバンド」の周波数は8~12GHz。1秒間に80~120億回も振動している電磁波です。今、実用化が期待されている電気を無線で飛ばす技術、「無線電送」の実験にも使われています。波長は3センチくらいです。 波長の短いマイクロ波は直進性があがり、狙ったところにデータを届けやすくなります。そこで人工衛星や探査機では、周波数が高く、波長が短いXバンドで大容量のデータのやり取りをしています。小惑星探査機はやぶさ2のメインアンテナもXバンドです。

    こっち 「Sバンド」:
    電子レンジや無線LANでお馴染みの「Sバンド」の周波数は2~4GHz。周波数はXバンドの約3分の1で、波長は約10センチになります。Sバンドは遠くまで届くという特徴があります。 そこで、人工衛星が迷子にならないための通信手段としてSバンドを使うことがよくあります。地球観測衛星では、観測データのやり取りはXバンドで、機体を維持するための最低限のデータのやりとりはSバンドで行うという構成にしていることがよくあります。

  • 熱技術

    2015年4月17日(第3回放送)

    • ゲスト宮北 健(第二研究ユニット)
    • パーソナリティー藤平 耕一

    宇宙あっちとこっち「ESA」と「JAXA」

    NASAと並ぶ著名な宇宙機関ESAとJAXAを比較してみました。宇宙開発、宇宙研究を進めるのに、他国の宇宙機関と協力することは普通になっています。ESAとJAXAも現在、いくつかの共同ミッションを実施中です。 水星探査ミッションBepiColombo(べピ・コロンボ)計画、雲エアロゾル放射ミッションEarthCARE(アース・ケア)はJAXAのホームページでも詳しく紹介しています。

    あっち 「ESA」:
    ESAの正式名称は、欧州宇宙機関、European Space AgencyでESA(イサ)と呼びます。ESAの設立は1975年で、今年でちょうど40年を迎えます。欧州宇宙ロケット開発機構ELDO(エルド)と欧州宇宙研究機構ESRO(エスロ)が合併してできました。

     年間予算:約4800億円(JAXAの約2.5倍)
     職員数:約2200人(JAXAの約1.5倍)
    注)ヨーロッパでは、フランスやドイツなど、各国にも宇宙機関があるため、その職員数を合わせると1万人以上になり、JAXAの約7倍です。
     本部:フランス パリ
     その他の主要事業所:
     ▪欧州宇宙研究技術センターESTEC(エステック) オランダ
     ▪欧州宇宙運用センターESOC(エソック) ドイツ
     ▪欧州宇宙飛行士センターEAC(イーエーシー) ドイツ
     ▪ESA地球観測センターESRIN(エスリン) イタリア
     射場:ギアナ宇宙センター フランス領ギアナ

    こっち 「JAXA」:
    JAXAの正式名称は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構、Japan Aerospace eXploration AgencyでJAXA(ジャクサ)です。設立は2002年。 日本の宇宙航空を扱う3つの研究機関、文部科学省宇宙科学研究所ISAS(アイサス)、独立行政法人航空宇宙技術研究所NAL(ナル)、独立行政法人宇宙開発事業団NASDA(ナスダ)が統合してできました。

     年間予算:約1800億円
     職員数:約1500人
     本社:調布航空宇宙センター(東京都調布市)
     その他の主要事業所:
     ▪東京事務所(東京都千代田区)
     ▪筑波宇宙センター(茨城県つくば市)
     ▪相模原キャンパス(神奈川県相模原市)
     ▪角田宇宙センター(宮城県角田市)
     射場:
     ▪種子島宇宙センター(鹿児島県熊毛郡南種子町)  ▪内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県肝属郡肝付町)

  • 電源技術

    2015年4月10日(第2回放送)

    • ゲスト川北 史朗(第一研究ユニット)
    • パーソナリティー藤平 耕一

    宇宙あっちとこっち「筑波宇宙センター」と「調布航空宇宙センター」

    JAXAの主要な事業所である「筑波宇宙センター」と「調布航空宇宙センター」を比較してみました。

    あっち 「筑波宇宙センター」:
    筑波宇宙センターは、1972年に開設しました。場所は、筑波研究学園都市、茨城県のつくば市にあります。敷地面積は約53万平方メートル。東京ディズニーランドとほぼ同じ広さです。 とても緑豊かなセンターで、全体の約半分ほどが、林や野原などの建物のない土地となっています。これには理由があります。 人工衛星には宇宙の磁場を計るセンサーや、磁場で姿勢を制御する磁気トルカを搭載しているものがありますが、それらの機器を検査するためには、地球の磁場が邪魔になります。 筑波宇宙センターの真ん中の「磁気試験設備」では、この邪魔な地球の磁場をキャンセルして、地球磁場のない空間を作り出すことができます。 しかしながら、金属や電子機器が「磁気試験設備」の半径300メートル以内にあると、磁場の制御が難しくなってしまいます。そのため、筑波宇宙センターには広大な「建物も何もない」緑豊かな土地があるのです。カモ、ニワトリ、ウサギやイタチもいるとか。 そんな筑波宇宙センターは、JAXAの中枢センターとして、人工衛星やロケットなど研究開発、打ち上げた人工衛星を追跡管制するネットワークの拠点、さらには、国際宇宙ステーションの運用、宇宙飛行士の訓練などを行っています。

    こっち 「調布航空宇宙センター」:
    調布航空宇宙センターは、1955年に開設しました。東京都調布市にあり、敷地面積は約12万平方メートルと六本木ヒルズとほぼ同じ広さです。 JAXAの航空技術の研究開発拠点として、長期的な視野に立った先進的な航空宇宙分野の基礎・基盤技術の研究開発を行っています。中に入るとそこかしこに、大きな球形のタンクが見てとれます。 これは、風洞設備用のタンクで圧縮空気を入れる貯気槽や真空タンクです。風洞とは人工的に空気の流れを作り、模型などを用いて航空機や宇宙船の機体周りの空気力や流れを調べるもので、大小様々な種類があります。 調布航空宇宙センターには、低速から極超音速までの空気流を作り出すことができ、幅広い条件で試験をすることが可能な風洞が揃っています。 風洞設備以外にも、航空機のエンジンの研究をするための施設・設備とあらゆる宇宙航空の研究開発には欠かせないスーパーコンピュータもここに設置されています。また、宇宙探査やデブリ除去の研究拠点としても精力的に活動しています。
    また、東京都調布飛行場に隣接した分室があります。こちらは東京都三鷹市にあり、敷地面積は約5万平方メートル。ここには航空機の飛行制御・計測関係の研究開発に不可欠な実験用航空機やヘリコプター、フライトシミュレータなどが設置されています。 航空機の機体・構造関係の研究施設・設備もおかれ、この関連の研究も行われているほか、次世代航空機の研究なども進めています。そんな調布航空宇宙センターはJAXAの本社でもあります。

  • 宇宙環境

    2015年4月3日(第1回放送)

    • ゲスト東尾 奈々(第一研究ユニット)
    • パーソナリティー藤平 耕一

    宇宙あっちとこっち「一般見学」と「特別公開」

    JAXA筑波宇宙センターの「一般見学」と「特別公開」。何が違うのでしょうか。

    あっち 「一般見学」:
    「一般見学」は年間を通して行われています。予約なし、入場料無料で見られる施設は次の3つ。「スペースドーム」、「プラネットキューブ」そして「ロケット広場」です。「スペースドーム」は常設の展示館。 「プラネットキューブ」は企画展のスペースと、ミュージアムショップがあります。そして、「ロケット広場」は日本が誇る純国産ロケットH2(エイチツー)の実機が展示されています。
    見学できる時間は10時から17時まで。お休みは、月曜日と年末年始です。祝日、夏休み中の月曜日は休みません。施設点検の臨時休館が、たまにありますので、お出かけ前に必ずチェックしてくださいね。 自由見学では物足りない!そんなあなたには、予約が必要な見学ツアーもあります。コースは3種類。宇宙飛行士コース、宇宙ステーションコース、ロケットコース。曜日によってコースが違いますので、まずはJAXAのウェブサイトでご確認ください。 予約は、なんと、5か月前の14時開始。早めに予定を立ててドシドシお越しください。

    こっち 「特別公開」:
    「特別公開」は年1回しか開催しない、まさに特別公開。2015年の筑波宇宙センター特別公開は、4月18日(土)に開催されました。特別公開では、普段入れない研究施設まで大公開。それだけじゃありません。 体験コーナーがあったり、面白実験があったり、驚きの連続です。JAXA職員が直接ディープな宇宙をご紹介します。そして、ラジオ日本とJAXAのコラボで産まれた「ディープな宇宙をつまみぐい」も特別公開に登場しました。 特別公開の開催日やイベントの詳細、会場へのアクセスはJAXAのウェブサイトでチェックしてください。