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支える研究 宇宙活動拡大のための機構マテリアル基盤技術の高度化 極限温度環境下での健全性確保と長寿命化

宇宙活動拡大のためには、広温度範囲での駆動機器の技術確立が不可欠であり、宇宙実績のある油・グリースが使用できない-70℃以下の環境では固体潤滑剤の使用が必要となります。しかし、特にローバやロボット等の可動部で重要となる減速機については、固体潤滑では長寿命化が難しく、使用例が少ない状況です。海外でも研究が進められていますが、未だ寿命要求を十分に満足できているものは無く、極低温度環境下での長寿命化は課題となっています。

本研究では極限温度環境下(-200℃以下)で長寿命要求を満足できる新宇宙用固体潤滑減速機の研究に取り組んでいます。

研究成果の一例

極限温度環境下での潤滑の難しさは、摺動による内部発熱および外部との熱流出入により、減速機の温度分布が変化することで性能および寿命が大きく影響を受けます。これらの熱的変化および個々の摺動形態に合わせた最適な潤滑設計を行い、図1に示す減速機を試作しました。

図1 減速機の外観

また、試験装置自体にも開発要素があり、減速機の性能を正しく評価できるよう熱影響を十分考慮して設計・製作しました。図2に試験装置、図3に真空チャンバー内部を示します。現在、宇宙環境を模擬するために真空チャンバーを用い、真空かつ極限温度環境下(-200℃以下)での減速機の性能および寿命の評価を進めています。

図2 試験装置
図3 真空チャンバー内部