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マイクロ波無線電力伝送地上試験・実用化実証

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、経済産業省から事業受託した一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構(J-spacesystems)と連携・協力し、将来の宇宙太陽光発電システム(Space Solar Power Systems:SSPS)の実現、及びエネルギー源の多様化に資することを目的として、マイクロ波による無線電力伝送技術の研究開発を行っています。

本研究開発において、JAXAは、SSPSの中核的技術であるマイクロ波による長距離無線電力伝送技術の確立に向け、マイクロ波送電ビームを受電アンテナに向けて高精度に指向制御・形成制御を行うビーム制御技術の研究開発を実施しています。静止軌道から地上までの36,000㎞という長距離の無線電力伝送を行うにあたり、 受電アンテナ*注1側から 送電アンテナ*注2側に向けて パイロット信号*注3を送出して、その到来方向を送電アンテナ側で高精度に検知し、それと同方向にマイクロ波送電ビームを指向するレトロディレクティブ技術を用います。また、マイクロ波ビームを放射する送電アンテナは、 フェーズドアレイアンテナ*注4というタイプのアンテナを用います。

本研究開発における高精度ビーム制御技術の実証試験の一環として、マイクロ波無線電力伝送地上試験(屋外試験)を実施しました。概略を下図に示します。その中で、アマチュア無線クラブの皆様の御協力を得て、無線送受電技術により送電された電力(電線無しで送られた電力)により アマチュア無線局(JA3YBB)を運用し、国内外のアマチュア無線家との交信を行っていただきました。

マイクロ波無線電力伝送地上試験システムの概要

マイクロ波無線電力伝送地上試験(屋外試験)の概略

 注1 受電アンテナ 実際の宇宙太陽光発電システムにおいては、宇宙から送られるマイクロ波ビームを地上で受電して、電力に変換するための受電施設のアンテナに相当。
 注2 送電アンテナ 実際の宇宙太陽光発電システムにおいては、宇宙から地上にマイクロ波を送電するために、発電衛星に設けられるアンテナに相当。
 注3 パイロット信号 送電アンテナが放射する高出力マイクロ波ビームの「あるべき送電方向」を示すために、受電アンテナ側から送電アンテナ側へ送出する案内信号。
 注4 フェーズドアレイアンテナ 等間隔に配列された複数の素子アンテナから放射される電波の振幅と位相を制御し、放射する電波を空間で合成することで、任意のビーム形状を形成するアンテナ。
 

実施結果

一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構との連携協力の下、赤穂アマチュア無線クラブの協力を得て、無線で伝送した電力を用いたアマチュア無線局の運用を実施いたしました。

御協力いただいた赤穂アマチュア無線クラブの皆様及び交信していただいたアマチュア無線家の皆様に感謝いたします。

 
マイクロ波無線電力伝送地上試験/実用化実証(デモ)の実施日時・場所
  • 日時:2015年3月8日(日) 10:15~16:45(アマチュア無線局の運用時間帯)
    ※当初3月1日(日)の予定でしたが、雨天により延期しました。(実験装置が防水仕様でないため)
  • 場所:三菱電機株式会社 兵庫県内の試験場
マイクロ波無線電力伝送地上試験(屋外試験)
マイクロ波無線電力伝送技術実用化実証(デモ)の様子

JAXAデジタルアーカイブス/フォトアーカイブズ

実用化実証(デモ)実施の実績
送電周波数 5.8GHz帯
送電電力 約1.8kW
受電電力 約320~340W
※1 送電アンテナ面に段差なしの場合と同程度の電力値
※2 電子的段差補正なしの場合は、85~95W程度
伝送距離 約55m
アマチュア無線の交信局数
(7MHz帯)
283局(リハーサル時を含む)
関係者一同(ご協力ありがとうございました)