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Introducing JAXA's technologies
JAXAの技術紹介
渦電流式ダンパ・アイソレータ

安田 進YASUDA Susumu

技術の概要 人工衛星の内部ではさまざまな機器が動作し、微小な振動が発生しています。衛星の姿勢や観測機器の性能に影響を与える、設計者が意図しない力を「擾乱」と呼びます。ホイールやジャイロなどで発生した擾乱は衛星の構体を伝わり、望遠鏡などの観測精度を低下させることがあります。この振動を抑える技術の一つが「振動アイソレータ」です。
今回ご紹介するのは、30 K未満の極低温でも動作可能なダンパと振動アイソレータです。本技術は、もともとは日欧共同開発の赤外線天文衛星SPICA(2020年に計画中止)への適用を目指して開発されました。SPICAでは、ミッション要求を達成するために、8 K以下の望遠鏡と約300 Kの衛星バス部を、熱的・振動的に切り離す必要がありました。また、間に位置する振動アイソレータの環境温度は約30 Kになると見積もられていました。しかし、通常のダンパに使用されるオイルや粘弾性体は、このような極低温環境では使用できません。そこで、「渦電流式ダンパ」を採用し、この課題の解決を目指しました。
アピール
ポイント
  • ◆極低温(<30K)以下で使用可能)
    粘弾性体やオイルが使用不可な極低温域で使用可能。
    理論的には、ダンパの減衰力は低温になるほど強くなる。
  • ◆非接触
    ダンパ部は非接触なので、きわめて断熱性が高い。
    摩耗がなく、粉塵の発生0。
  • ◆完全パッシブ
    電源不要、シンプルな構造。
  • ◆少ない磁束漏れ
    内部では強力な磁石を使用しているが、外部に磁束が漏れにくい構造。
  • ◆低アウトガス
    有機材料不使用。
適用先(例)
  • 防振(擾乱発生機器に適用)
    宇宙用:リアクションホイール、CMG、コンプレッサ、SADAM等、地上用:コンプレッサ、ポンプ、モーター等
  • 除振(擾乱感受機器に適用)
    宇宙用:望遠鏡、光ターミナル、高精度分光器、地上用:半導体露光装置、電子顕微鏡、重力波検出器等
図表
渦電流ダンパの断面図
振動アイソレータ
関連特許 特許第7480992号 ダンパ及びアイソレータ