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Introducing JAXA's technologies
JAXAの技術紹介
ロボット用位置決め誤差吸収コンプライアンス機構

清水 杜織SHIMIZU Tori

技術の概要 マニピュレーションで位置決め誤差が生じると、把持に伴いより適切な位置姿勢へ「ならう」方向の反力がアームに加わり、把持失敗・対象物の変形・アームのたわみに繋がる。力覚制御でも、把持速度がアーム移動速度を上回る場合は負荷への追従が困難である。
解決手法として、手首関節部で誤差と反力を一時的に受け流す「コンプライアンス機構」が存在する。アーム-手先-対象物間の嵌合を二段階に分けることで要求位置決め精度を緩和し、アーム負荷の抑制・制御リソースの削減・タスク実行時間の短縮に寄与する。

本機構を宇宙ロボットへ適用するに際し、宇宙環境特有の三つの要求を満たす構造を考案した。
  1. 自律制御や自身の固定が不安定な微重力下など、精密な位置決めが困難な環境における許容誤差の最大化
  2. 真空中での圧力差・温度変化・アウトガス・補充性の観点から、流体駆動の不使用
  3. 制御性・安全性・可動範囲の低下を招く、アーム先端の容積・質量の増大の抑制
アピール
ポイント
地上用民生品の従来手法とは抜本的に異なる「6軸ばね構造」によるコンプライアンス機構の構築手法を考案。
(a)弾性を最小限とした無剛性状態、(b)位置決め誤差を許容する低剛性状態、(c)関節を原点姿勢で固定した高剛性状態、(d)そして関節同士の結合を解除した分離状態の間を連続的に遷移することで、(b)-(e)間が誤差吸収機能、(a)-(d)が手先交換機能、(c)-(e)間が過負荷保護機能に対応する。これによって、
  1. Φ80の同程度容積の民生品と比較して、±2.5mm, ±25degと大変位・大偏角の6軸許容誤差を実現
    ・・・民生品の多くはXYRの3軸で、6軸対応のものでも±2 mm, ±10 deg程度
  2. 誤差吸収に加え、過負荷保護と手先交換をも複合することで、多機能化による相対的小型軽量化を実現
    ・・・コンプライアンス機構、トルクリミッタ、ツールチェンジャーなど機能ごとの装置の積み上げが不要に
  3. 流体駆動に依存しない、モータで駆動可能な構成を実現
適用先(例)
◆有人拠点支援
ISS船内作業ロボット『ペイロードの管理・運搬・操作ロボットシステム(PORTRS)』用
ツールホルダの受動6軸緩衝装置として ・・・FY2026~ 打上げ予定
◆軌道上サービス
デブリ捕獲・燃料補給・組立分解に用いるマニピュレータの手首関節として
◆群ロボット
ジョイント部の分離結合機構として
◆地上用途
空圧や油圧が利用不可な地上環境(産業・災害・探査)でも誤差吸収機構を利用可能に
図表
第一次試作実機の外観
民生品とのサイズ比較
6軸ばね 動作原理
関連特許 特許出願中