スリップリング
スリップリングは、リング外周にブラシを押しつけることで、回転側と静止側の間で電気を伝えています。開発したスリップリングは、小型・軽量化のためブラシとしてワイヤを用いるタイプを選定し、 通電特性改善のために複数のワイヤからなるブラシとしました(マルチワイヤブラシ型)。
スリップリングの仕様は、用途として観測センサーを想定し、以下のように決定しました。
スリップリング仕様
方式 | マルチワイヤブラシ型 |
---|---|
通電電流 | 信号用 0.4A(定格) 電力用 1A(定格) |
電気抵抗 | 信号用 500mΩ以下(回転側1m、静止側1mのリード線を含む) 電力用 500mΩ以下(回転側1m、静止側1mのリード線を含む) |
電気ノイズ | 信号用 1Ω以下 電力用 1Ω以下 |
リング段数 | 20段 |
摩擦トルク | 0.025Nm以下 |
外形寸法 | φ45mm×103mm以下 |
質量 | 500g以下 |
寿命 | 106サイクル以上 |
図1 スリップリング外観形状、断面
図2 リングの外観
図3 特性評価試験中のスリップリング
ブラシの押付け力、リングに施す金めっきなどについて適切な条件を調べる特性評価試験を実施しました。特性評価試験に用いたスリップリングの外観形状、断面を図1に、リングを取り付けた回転軸の写真を図2に示します。 図3は、大気中で電気抵抗やノイズなどの特性評価を行った時の写真です。図3と同様のコンフィグレーションで真空中での特性評価、寿命評価を実施し、ブラシの押付け力やリングの金めっきの条件などを決定しました。
その後、実験モデルでの評価などにより設計を進め、詳細設計審査、認定試験などを行い、開発完了しました。