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センサ一体型構造の研究

宇宙機の構造設計は2つの着眼点があります。1つは宇宙機やその搭載機器がロケットの打ち上げ環境に耐えられるような構造を設計すること、もう1つは軌道上(宇宙環境)でミッション達成のために 必要な構造の安定性(熱でゆがまないこと、振動でぶれないこと)を作り出すことです。いずれにせよ、設計が正しいかどうか確認すること(設計検証)が大切な技術になります。 この研究では、検証用センサを宇宙機構造の内部に組み込むことでより正確な構造設計検証を行う技術を確立し、宇宙機の性能向上に寄与することを目標としています。

研究の概要

人工衛星の模型(代表的な構造)
人工衛星の分解図
解決したい課題

実際の人工衛星の構造は狭い空間に多くの機器が配置されていて、設計検証を行うためのセンサを設置する場合、いくつかの制約があります(上図の技術的課題1、2)。

研究で行っている内容

サイズが小さく、センサを直列に接続可能で、かつ精度の高い計測が可能な光ファイバセンサを衛星構造の部品を製作する段階で内部に埋め込む方法を検討しています。 人工衛星を人間で例えると、体の中に神経網を張り巡らせる方法を検討していることになります。その張り巡らせた神経網が、宇宙環境(真空で温度が大きく動く環境)で正確に働くかどうかを確認する実験も行っています。

研究成果(より詳細な研究内容)

センサ一体型構造の設計・試作
ハニカムサンドイッチパネル
光ファイバ一体型ハニカムサンドイッチパネル

ハニカムコア(正六角柱を隙間なく並べた蜂の巣形状の構造)を2枚の表皮(アルミニウム合金や炭素繊維複合材料CFRPで作られる薄い板)で挟んだパネルです。ロケットや人工衛星でよく使用される構造部材です。

光ファイバセンサ

直径が約0.1ミリと細く、光が石英ガラスの内部を伝わります。応力(ひずみ)や温度変化によって、光の周波数(もしくは波長)に変化が現れる現象を利用して、計測を行います。通信用光ファイバと基本は同じです。

性能評価試験
宇宙環境を模擬した状態でのセンサ機能評価

高真空(10-3以下)、極低温(-150℃以下)で、光ファイバセンサが実験室環境と変わらない性能で計測可能なことを確認しました。

参考文献

  • 「センサ一体型ハニカムサンドイッチパネルの製造性検証」, 宇宙航空研究開発機構研究開発資料, JAXA-RM-14-009, 2015年3月.
  • Tadahito Mizutani, "Proof-of-concept Study of Smart Panel for Space Structure," Proc. 9th International Workshop on Structural Health Monitoring, pp.437-444, Stanford, CA, 2013.
  • Tadahito Mizutani, "Precise Sensing Utilizing Optical Fiber for Spacecraft,” Proc. SPIE, 9157, 915779, Santander, Spain, 2014. (invited paper)

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