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高性能エンジンの先端研究(その4)

現在、日本製のヒドラジンを燃料とするアポジエンジンが世界の市場で独占的に売れています。これは、日本製のエンジンが高性能であるからです。しかし、世界では、さらに高性能なエンジンが次々と開発され日本の独占した市場を脅かしています。

日本の強みともいえる高性能なエンジンをより高性能にして、日本のこれまで築いてきた地位をさらに推し進め、採用される宇宙機もこれまでできなかったことをできるような技術を獲得しようというのが目的です。

研究の概要

現在使用しているエンジンは世界的に見ても高性能ですが、これをさらに高性能化するには、以下のようないろいろな方法があります。

  • ポンプなどを採用して、高圧燃焼させ高い膨張比を稼ぐ。
  • ノズルの膨張率を高める。
  • 大きな化学エネルギーをもった推進剤を採用する。

また、地球の月など大気の無い天体に着陸するには、エンジンの出力を細かく制御できる必要があります。

上記の技術的な課題について、各々の技術要素に分解し、特に重要と思われる次の部分について技術的な研究を行っています。

  • 再生冷却式エンジンの研究
  • 高膨張ノズルの研究
  • 高性能な推進剤の研究
  • 月着陸探査機の推進系の研究

これらの活動を通じて、将来の宇宙機の設計時に実際に開発するハードウェアの仕様や様式、開発スケジュールや開発課題を適切にトレードオフなどの評価できる技術を身に着けられます。

研究成果(より詳細な研究内容)

再生冷却式エンジンの研究

再生冷却エンジンを実現するのに必須な技術として、小型の電動駆動ポンプを選択し、機能確認のためのモデルを試作しました。

シール機能を排するため“キャンド”タイプという回転子を丸ごと推進剤に漬け込む形態を採用した。モーターも高効率で万が一の時に従前のDCモーターよりも高トルクが出せるスロットレス非鉄心モーターを採用しました。

模擬流体でシール機能が無くても外部漏えいがなくせること、選択したモータでも模擬液中で回転させられることを確認しました。

高膨張ノズルの研究

高膨張ノズルについて、高膨張部分をオーバーラップさせた形状の“プラグクラスタノズル”形状を新たに考案しました。プラグクラスタノズルのスケールモデルを作成し、不活性ガスを用いた性能評価実験とコンピューターを用いた数値解析を行い、 考案した形状が従来の複数ノズルの集合体よりも高性能であるという目途を得ました。

高性能な推進剤の研究

これまで、考えられてこなかった推進剤の例として、アルカリ金属に注目して、基礎的な着火実験を行い、特別な着火機構が無くても着火できることを確認しました。

月着陸探査機の推進系の研究

月の縦穴探査を行う着陸探査機のシステム検討を行いました。

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