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複合材料を用いた鏡面の高精度化

人工衛星に搭載されるミラーやアンテナは、大きければ大きいほど観測性能を上げることができます。しかし、サイズを大きくすると重くなり、ロケットで打ち上げることができる重量の制約から、サイズの大きさには限界がありました。 本研究は、軽量な素材として注目されているCFRP(炭素繊維強化プラスチック、Carbon Fiber Reinforced Plastic)を用いてミラーやアンテナを製作することで、従来の限界を超える大型・軽量な望遠鏡や観測センサを実現することを目指しています。

研究の概要

人工衛星に搭載される望遠鏡のミラーや観測センサのアンテナを大きくすると、より多くの光や電波を集めることができるため、観測性能を向上させることができます。しかし、サイズを大きくするとそれだけ重量も重くなり、ロケットで打ち上げることができる重量には制約があることから、 大型化と軽量化を両立させることが重要となります。

本研究では、ミラーやアンテナの材料としてこれまで一般的に用いられてきたガラスや金属などの素材に代わって、軽量な素材であるCFRPを用いてミラーやアンテナを製作することで、大型・軽量な望遠鏡や観測センサを実現することを目指しています。 ミラーやアンテナには高精度な表面形状が必要となるため、1μm(1マイクロメートル、1mmの1000分の1)以下の精度でCFRPの形状を作成する製造方法を研究しています。 また、宇宙空間の環境(真空、高温、低温、放射線など)でCFRPがどのように劣化するかの実証試験を実施しています。

研究成果(より詳細な研究内容)

レプリカ法を用いてCFRP表面に
形成した樹脂層の断面観察写真

炭素繊維とマトリックス樹脂の複合材料であるCFRPの表面は、詳細に観察すると、炭素繊維に沿った筋状の凹凸が存在していることが確認できます。CFRPの一般的な用途である構造部材として使用する場合には全く問題とならないわずかな凹凸ですが、 ミラーやアンテナとして使用する場合にはこのわずかな凹凸が観測性能に影響することがあります。本研究では、レプリカ法という製法を用いてCFRPの表面に均一な樹脂層を形成し、CFRP表面の凹凸を覆い隠すことで、研磨したガラスに匹敵する滑らかな表面 (面精度1μm以下、表面粗さ20nm以下)をもったCFRPミラーを実現しています。また、複合材料であるCFRPで製作されたミラーが、宇宙環境(真空、温度、放射線)に対してどのような挙動を示すのか詳細に検証する実証試験も実施しています。

一般的なCFRP表面に観察される筋状の凹凸
試作したCFRPミラー
試作したCFRPミラー

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