SDS-1から送られた画像、SDS-1の運用状況などを紹介します。
クリティカルフェーズ(~2009/1/27)
- 衛星分離の確認
- 衛星姿勢状態(スピン状態)の確認
- 太陽電池パネル展開
- 電力状態の確認
初期チェックアウトフェーズ(~2009/3/6)
2009年1月28日 10時20分頃(日本時間)
モニタカメラでパドル展開を確認
モニタカメラ(MCMR)はパネル展開状態のモニタをするために搭載しました。
2009年2月6日12時50分撮影(日本時間)
太陽電池パネルの展開状態確認。
背景に移っているのはオーストラリアの大地です。
定常運用フェーズ(2009/3/7~)
- 3月7日以降、MTP、SWIM、AMIを中心に実験運用を実施
利用局:国内局および海外局(ノルウェー)
1日あたり、2~3パス運用
- 衛星状態は良好
スピンレート 約3rpm
TSA(スピン軸と太陽光角度) 約40deg
発生電力 約140W
実検結果
マルチモード統合トランスポンダ(MTP) [3~6月実施]

MTPの機能確認運用
- USB、SSA、QPSK、CDMA通信に成功
地上局―衛星間、衛星―衛星間との距離測定についても成功した。
- MTPをQPSK動作モードに設定し、USBアップリンク信号をGN地上局から送信すると、USB動作モードに自動変更する機能を確認
- CDMA機能の複数衛星同時運用を想定し、同じ周波数でSDS-1用の信号と仮に想定した別衛星用の信号とを合成してGN地上局から送信し、SDS-1がSDS-1用の信号のみを分離・識別して通信することに成功
スペースワイヤ実証モジュール(SWIM) [4~6月実施]

SWIMの機能確認運用
スペースワイヤを標準サポートする宇宙用計算機SpaceCube2の今後の宇宙機への適用のめどをつけた。
将来の科学衛星のミッション達成のために重力波検出の動作原理・性能評価の成果を得た。
先端マイクロプロセッサ軌道上実検装置(AMI) [3月から運用終了まで継続予定]

陸域観測技術衛星(ALOS)で観測された放射線が多い領域と、SDS-1/AMIで観測された放射線によるデータ反転(SEU)の発生場所を比較
- 64ビットMPU、SRAM、 DC/DCコンバータ等の開発品を搭載
- MPUの320MIPSでの動作を軌道上で実証
高速動作に伴うMPU自身の発熱による動作異常(熱暴走)もみられていない
- 放射線によるデータ反転を検知
適切に訂正し、正常復帰したことを確認
宇宙への適用性の目処を得た
- DC/DCコンバータについては、機器に実装した状態で、よく安定して動作していることを確認している
2009年7月22日11時23分頃撮影(日本時間)
太陽電池パネルの展開状態確認。
自動露出機能のため白く写っていますが、左側の円弧は地球です。
また、地球上の黒く細長い楕円は日食により、地球に落ちた月の影です。
SDS-1は、打ち上げ以降、衛星の状態は良好であり、定常運用フェーズにおいて当初計画した実証実験機器の軌道上実証実験をすべて順調に実施しました。
定常運用フェーズの残りの期間で、実証データの蓄積をはかる予定です。
SDS-1定常運用終了について
2009年9月7日 定常運用フェーズ完了確認会
確認会の目的は、ミッションの達成状況等の確認、定常運用フェーズの終了可否、および後期利用フェーズへの移行可否の判断。
- ミッションの達成状況等
ミッション機器である、マルチモード統合トランスポンダ(MTP)、スペースワイヤ実証モジュール(SWIM)、先端マイクロプロセッサ軌道上実験装置(AMI)について、定常運用フェーズで実施すべき運用をすべて完了し、目的を達成した。
また、各機器の機能・性能評価等の結果、すべてのサブシステム、バス機器が正常に動作していることを確認し、後期利用フェーズでの運用上、問題になる点は無い。
- 後期利用フェーズの実施計画
当面の実施期間としては、以下の通りとする。
2010年3月末までは、後期利用フェーズとして衛星運用を継続する。2010年3月に、その運用で得られた成果を確認し、4月以降、衛星運用を継続するかどうかの判断をする。
成果の活用
今回のSDS-1で得られた成果は、今後の衛星の性能向上や信頼性向上に役立てていきます。
SDS-1後期利用フェーズ(その1)(2009/9/8~)
9月8日以降、MTP、SWIM、AMIの運用・評価を継続して実施し、データの蓄積を図った。
利用局 : 国内局および海外局(ノルウェー)
1日あたり、平均2パス運用
衛星状態は良好。
実験結果
マルチモード統合トランスポンダ(MTP)を定期的に動作させて、その状態を確認して、特性が変化せずに安定していることを確認した。
スペースワイヤ実証モジュール(SWIM)は、6回実験して観測データから部品の顕著な劣化等が見られないこと、また、重力波検出器の特性・性能評価を軌道上で実施できることを確認した。
先端マイクロプロセッサ軌道上実験装置(AMI)は、継続して軌道上データを取得し、データの蓄積を図った。
SDS-1後期利用フェーズ(その1)終了について
2010年2月26日 後期利用(その1)完了審査会について
確認会の目的は、3月末までの運用で取得する予定量のデータを考慮して、ミッション運用・評価を継続実施して得られた成果を確認し、あわせて今後のSDS-1活用の可否の判断。
- 運用状況等
ミッション機器である、マルチモード統合トランスポンダ(MTP)、スペースワイヤ実証モジュール(SWIM)、先端マイクロプロセッサ軌道上実験装置(AMI)について、機器の健全性が維持されていることの確認と、軌道上実証データの取得を継続した。
なお、衛星システムは正常に動作している。
SDS-1後期利用フェーズ(その2)(2010/4/1~)
スペースワイヤ実証モジュール(SWIM)による重力波の軌道上計測と地上検出器との同時観測の実現性を実験(SDS-1/SWIM地上同時観測実験)した。
また、SWIMを用いた実験の合間に、若手職員の衛星運用経験に活用した。
衛星システムの状態は良好。
利用局、国内局
1日あたり、平均1パス運用
SDS-1後期利用フェーズ(その2)終了について
2010年7月28日 後期利用フェーズ(その2)完了審査会について
2010年8月末までの運用内容を考慮して、今後のSDS-1活用の可否を判断。
SWIMによる、宇宙-地上同時の重力波観測手法の成立性を確認する等、当初計画を超える成果を得たことを確認した。
運用終了について
2010年9月8日にSDS-1の運用を終了し、停波した。
SDS-1の開発から運用までの衛星ライフサイクルにおいて得た知見を今後のSDS開発・運用に考慮・反映してゆく
SDS-1の成果の概要について
宇宙開発委員会報告資料(PDF形式 1.35MB)