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HTV搭載薄膜太陽電池フィルムアレイシート実証実験(SFINKS)の
不具合に係る原因究明結果について

SFINKSの概要

SFINKS 外観
SFINKS 外観

「こうのとり」6号機の搭載機会を利用して、JAXA研究開発部門で開発した「高効率薄膜3接合太陽電池」の軌道上実証を行う装置であり、高効率薄膜3接合太陽電池の軌道上における電流、電圧等のデータを取得するとともに、打上げ環境及び軌道上での放射線・紫外線への耐性の実証を目的とします。

SFINKS(Solar cell Film array sheet for Next generation)



不具合事象

  • HTV6号機の打上げ1周回目、2016年12月9日14:16(日本時間)頃、SFINKS実験面への太陽光入射により、設計どおりSFINKSは自動起動しました。
  • 起動後、試験対象である太陽電池セルを繋げたアレイシートの発生電流、電圧及びSFINKS本体温度が予測どおり正常に機能しているデータを取得しましたが、約8分間(509秒間)後、SFINKSからのテレメトリ出力が停止しました。
 

不具合事象にかかる原因究明結果

故障の木解析(FTA)に基づく再現試験等により、不具合の原因を以下のとおり特定しました。


不具合発生のシナリオ
  1. 太陽光の入射角度が浅い時間に、太陽電池アレイシートの一部では、太陽電池シート表面に対する直射太陽光と、「こうのとり」本体との隙間から入射した太陽光の反射光による太陽電池シート裏面への入射光が同時にあたり、表面のみ入射する部分との間に30~40℃の温度差が発生しました(参考図)。
  2. 並列接続される太陽電池セルのストリング(注)間に温度差が生じると、高温側ストリングと低温側ストリング間に電位差が発生しました。
    (注)太陽電池セルを直列接続した構成
  3. この電位差が設計時の想定を超え、電圧の高いストリングから電圧の低いストリングに過大な電流が流れて太陽電池セルが短絡し、このストリングから電源を得ているデータ出力用計測ボックスの動作が停止し、信号途絶に至りました。
不具合発生の原因

今回開発した薄膜太陽電池固有の特徴(軽量なため熱容量が小さく短時間に温度が変化しやすい、効率が高いため直流抵抗が小さく流入電流により発熱しやすい)と、SFINKS特有の設計(「こうのとり」本体に影響しないよう浮かせた取り付け方法を採用したため、裏面に反射太陽光が入る影響で大きな温度差が生じる)の組合せにより生じたものと判断しました。


参考図
参考図

 

今後の予定

今回の原因究明結果を踏まえ、電流流入、発熱に対する薄膜太陽電池セルの耐性向上の改良を進めたうえで、本薄膜セルを用いた太陽電池パドルについて、平成30年度打上げ予定の「革新的衛星技術実証1号機プロジェクト」小型実証衛星1号機による実証を行う予定です。本薄膜太陽電池は、世界最軽量かつ世界最高性能を有しており、引き続き実用化を目指した研究開発に取り組みます。