研究紹介

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誘導制御システム試験設備の運用

新規開発要素のある、航法・誘導・制御系に関して、その検証・評価を行う必要があります。そのため第一研究ユニットでは宇宙機の誘導制御機器の機能・性能を検証するための誘導制御システム試験設備(ACTS-RDOTS)を所有・運用しています。これまで第一研究ユニットで所有する設備を用いて、わが国初の三軸姿勢制御系の検証や、こうのとり誘導制御系の検証を行い、ミッションの成功に貢献しています。



研究の概要

誘導制御システム試験設備は、宇宙機の誘導制御機器の機能・性能を検証するための設備です。誘導制御機器を単体レベルで試験するだけでなく、各センサ・AOCEを供試体として、初期姿勢捕捉、定常姿勢制御、軌道制御中の姿勢保持などを実際の軌道上での運動を模擬した環境下で試験することが可能です。

設備の利用実績

試験年 試験内容
1982~1986 ACTSを用いた海洋観測衛星「もも1号」(MOS-1)姿勢軌道制御系のDCLT(低周回軌道での三軸姿勢制御技術の試験検証)
1982~1985 ACTSを用いた技術試験衛星V型「きく5号」(ETS-V)姿勢軌道制御系のDCLT(静止軌道での三軸姿勢制御技術の試験検証)
1992~1996 RDOTS-Sを用いた技術試験衛星VII型「おりひめ、ひこぼし」ランデブ・ドッキングシステムのDCLT(軌道上無人自動ランデブ・ドッキング技術の試験検証)
2001 ACTSを用いたマイクロラブサット1号機(μ-Labsat)CCD-ESAの機能確認試験(JAXAインハウスの小型衛星搭載コンポーネントの単体試験検証)
2003 ACTS/恒星シミュレータIIを用いた陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)STT・姿勢軌道制御系の機能確認試験(第一世代型STTとAOCEと組み合わせた三軸姿勢制御技術の試験検証)
2005~2007 ACTSとRDOTSを用いた宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)電気モジュール航法誘導制御系サブシステム試験(有人ターゲットへの無人自動ランデブ・ドッキング技術の試験検証)
2006 ACTS/恒星シミュレータIIIを用いた月周回衛星「かぐや」(SELENE)STTの機能確認試験(第二世代型STTの単体試験検証)
その他利用プロジェクト

  • 地球資源観測衛星「ふよう1号」(JERS-1)
  • 技術試験衛星VI型「きく6号」(ETS-VI)
  • H-IIロケット、地球観測プラットフォーム技術衛星「みどり」(ADEOS)
  • 通信放送技術衛星「かけはし」(COMETS)
  • J-1ロケット、データ中継技術衛星「こだま」(DRTS)
  • 次世代型無人宇宙実験システム(USERS)
  • 技術試験衛星Ⅷ型「きく8号」(ETS-VIII)
  • 小型実証衛星1型(SDS-1)  等



研究成果(より詳細な研究内容)

三軸姿勢制御システム試験設備
三軸モーションシミュレータ(外観図)
三軸モーションシミュレータ(外観図)

三軸回りの回転自由度を持つサーボテーブルとコントローラで構成され、太陽センサ、慣性センサ、恒星センサ用にAC347-V(垂直型)2式、地球センサ用にAC347-H(水平型)1式の計3式が設置されています。姿勢軌道運動による太陽、地球、恒星及び慣性空間との間の相対的な運動を、姿勢センサごとに外部計算機で求め、サーボテーブルを制御することにより、サーボテーブルに搭載された姿勢センサと天体シミュレータとの位置関係を、軌道上の宇宙機の運動と等価にすることができます。また、姿勢軌道運動・誘導制御アルゴリズム計算用の外部計算機は、汎用的な計算機で構築することが可能です。計算機を外部入出力インタフェースに接続することにより、ユーザはリアルタイムでの閉ループシミュレーションを自由に行うことが可能です。


主要性能
項目 性能・諸元
回転軸 Outer Middle Inner
回転自由度 deg ±120 ±120 無限
角度
・精度 arc-secRMS
・分解能 arc-sec
・再現性 arc-secP-P
 
10
0.036
2
 
10
0.036
2
 
10
0.036
2
角速度
・最大角速度 deg/sec
・分解能 arc-sec/sec
・安定性 %
  over 360 deg
  over 180 deg
・精度 %
  over 360 deg
  over 180 deg
 
30
0.036
 
-
0.005
 
-
0.005
 
30
0.036
 
-
0.005
 
-
0.005
 
200
0.036
 
0.005
-
 
0.005
-
ランデブ・ドッキングシステム開発試験設備
三軸モーションシミュレータ(外観図)
三軸モーションシミュレータ(外観図)

宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)電気モジュール航法誘導制御系サブシステムの、近傍接近フェーズにおける機能・性能確認を動的に行うために開発された試験設備です。ユーザが準備する外部計算機からランデブシミュレーション結果として送出される位置信号に基づき、宇宙空間でのHTVとISSの相対的な運動を右の表に示す範囲と精度で実現することができます。6自由度モーション装置側にHTV側ランデブセンサ(RVS)を、2軸テーブル側にISS側ターゲットリフレクタを配置し、それらの相対的な距離を計測します。RVSの測距値をフィードバックすることにより宇宙機に搭載する計算機や誘導・制御ソフトウェアなどを含めたDCLTが実施できます。


また「こうのとり」の近傍域ランデブ運動に限らず、宇宙空間における2機の宇宙機の相対運動をリアルタイムに模擬することができますので、宇宙機の編隊飛行(フォーメーションフライト)や月惑星探査機の着陸誘導などへ研究開発の応用利用も可能です。


主要性能
項目 性能・諸元
  相対位置 相対姿勢
x y z φ θ ψ
相対運動模擬範囲 3.0m(可動範囲) 1.5~26.0m ±10 deg 3軸回転同時駆動時:±5deg
相対速度模擬範囲 0.60 m/s 0.25 m/s 0.50 m/s ±1.0 deg/s
相対運動分解能 ±1 mm 0.1 deg
相対速度分解能 0.5 mm/s 0.01 deg/s
運動模擬精度 30 mm(@z=26 m) 0.2 deg